コラム

食品工場の脱炭素化と冷媒選択|サステナブルな未来へ向けた「CO2自然冷媒」の可能性

2026.07.01

食品工場の脱炭素化と冷媒選択|サステナブルな未来へ向けた「CO2自然冷媒」の可能性

食品工場の脱炭素化と冷媒の可能性

1. はじめに:食品工場が直面する「脱炭素化」の新たなフェーズ

現在、日本の産業界全体でカーボンニュートラルへの取り組みが加速する中、食品製造業においても「脱炭素化」は避けて通れない最重要課題となっています。特に食品工場において、24時間 365日安定した温度管理を求められる「冷却・冷熱設備」は、全消費電力の大きな割合を占めるエネルギー消費源であり、同時に温室効果ガス排出の焦点でもあります。

これまで多くの現場を支えてきたフロン類(代替フロンを含む)ですが、国際的な規制強化や国内法の改正により、その運用リスクとコストは年々高まりつつあります。本コラムでは、食品工場における脱炭素化の現在地を整理するとともに、これからの持続可能な食のインフラを支える選択肢として注目を集める「CO2自然冷媒」の技術的アプローチについて解説します。

2.なぜ今、食品工場に「冷媒の転換」が求められているのか?

食品工場が脱炭素化を進める上で、最も大きな変化を求められているのが「冷媒」の選択です。背景には、深刻化する地球温暖化と、それに伴う厳格な法規制があります。

代替フロン(HFC)に迫る供給削減のタイムリミット

オゾン層を破壊しない冷媒として普及した代替フロン(HFC)ですが、実は二酸化炭素(CO2)の数百倍から数千倍という極めて高い地球温暖化係数(GWP)を持っています。そのため、国際的な取り決め(キガリ改正)に基づき、日本国内でもHFCの生産・消費量は段階的に大幅削減されることが決まっています。

これにより、今後は代替フロンの価格高騰や、将来的な入手困難リスクが確実に高まります。「まだ動くからフロン機のままでいい」という選択は、数年後のメンテナンス時やトラブル発生時に、事業継続を脅かすリスクとなり得るのです。

サステナブルな食のインフラへ

ガリレイグループが目指す4つの環境アクション2030

グリーン冷媒の転換、冷媒ガス漏えい防止、環境性能、CO2削減

ガリレイグループでは、生産からテーブルに並ぶまで、フードサプライチェーン全体における温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す「サステナブルビジョン」を掲げています。また、「環境アクション2030」において、新規製品・新規設備へ使用する冷媒を低GWP冷媒やノンフロン冷媒といった「グリーン冷媒」へ転換していく方針を打ち出し、地球温暖化防止に注力しています。

このような背景から、食品工場の設備更新においては、「目先の効率」だけでなく、「今後も規制を受けず、長く安心して使い続けられる冷媒システム」の導入が不可欠となっています。

3. 炭素社会の流れを逆転させるアプローチ:CO2冷凍システム「NOBRAC」

こうした時代の要請に応えるために開発されたのが、自然冷媒(CO2)を採用したCO2冷凍システム「NOBRAC(ノブラック)」です。

ブランド名に込められたコンセプト

「NOBRAC」という名称は、炭素を表す「CARBON(カーボン)」を逆から並べて読んだものです。「これまでの炭素社会、そしてCO2が増加し続ける世の中の流れを逆転させる」という、ガリレイグループのカーボンニュートラル実現に対する強い想いが込められており、ロゴマークもゼロカーボンのゼロを連想させるモチーフです。

CO2冷凍システム NOBRAC(ノブラック) 

CO2冷凍システム NOBRAC(ノブラック)

「適材適冷」の思想とシステム全体の最適化

食品工場の脱炭素化は、単に冷凍機を省エネなものに変えれば済むという単純なものではありません。扱う食材、加工プロセス、工場の規模によって、最適な冷やし方は全く異なります。

タカハシガリレイでは、長年培ってきた連続式トンネルフリーザーをはじめとする急速冷却・急速凍結技術をベースに、食材の特長を最大限に活かす「適材適冷」の提案(TFS:Total Food Solution活動)を行っています。

NOBRACは、単体の冷凍機として機能するだけでなく、冷却器(ユニットクーラー)、制御システム、さらには工場内のトンネルフリーザーや冷凍・冷蔵庫までを含めた「自然冷媒システム全体」を最適化する設計思想に基づいて開発されています。これにより、食品の品質を妥協することなく、工場全体のエネルギー負荷を最小限に抑えることが可能となります。

4. 食品工場が「NOBRAC」を導入する技術的・運用的メリット

食品工場において、冷却設備の刷新は大規模な投資を伴います。「環境に配慮された設備」であると同時に、「工場の安定稼働と経済性」を両立していなければ、持続可能なシステムとは言えません。CO2冷凍システム「NOBRAC」には、これからの食品工場を支える具体的なメリットがあります。

① フロン機と同等の扱いやすさと導入ハードルの低さ

自然冷媒への転換を検討する際、アンモニア冷媒などで必要となる「除害設備」や「非常用電源設備」の設置スペースやコスト、安全管理の手間がネックになるケースが少なくありません。しかし、NOBRACが採用する「乾式直膨式」のCO2システムは、毒性や可燃性の心配がなく、従来のフロン機と同等のシンプルな感覚で扱うことができます。特別な追加設備を必要としないため、導入のハードルを大きく下げることが可能です。

② 確かな省エネ性と「排熱」の有効利用によるエネルギー循環

NOBRACは従来比で最大20%の消費電力量削減を実現しており、工場のランニングコスト低減に直接貢献します。実際の稼働データ(福岡県内のトンネルフリーザー接続事例)においても、平均実質COPは冬季で2.08、中間季で1.88、夏季で1.56という想定以上の高い数値を達成しています。

さらに、CO2冷凍システム特有の「高い排熱温度」を無駄にせず、エネルギーとして再利用できる点も大きな特徴です。NOBRACから出る排熱を利用して温水を生成し、それを工場内の洗浄水やCIP(定置洗浄)用の水、ボイラへの補給水などへと回すことで、工場全体のエネルギー効率を総合的に高めることができます。

③ 複数台の圧縮機による「止めない」冗長設計

食品工場の生産ラインにおいて、冷却設備の突発的な停止は生産ロスや食品ロスに直結する致命的なリスクです。NOBRACは低段・高段共に2〜3台の圧縮機を搭載する複数台構成(マルチ構成)をとっています。これにより、万が一そのうちの1台に不具合が生じた場合でも、残りの圧縮機で運転を継続することが可能です。 また、この設計はメンテナンス費用の分散や、オーバーホール時の工場停止時間を最短化することにも繋がります。

5. 遠隔監視と「冷媒ガス漏れ10年保証(TGX)」による、長期的なリスク管理

脱炭素化やフロン規制への対応が進む中、もうひとつ重要なのが「冷媒ガスの漏洩防止」です。ガリレイグループが進める「環境アクション2030」においても、冷媒ガス漏洩防止による地球温暖化ゼロへの貢献は重要な柱となっています。

 

集中監視機器「AURO(アウロ)」による日々の見守り

タカハシガリレイでは、トンネルフリーザーをはじめとする設備へ、集中監視機器「AURO」を用いた遠隔監視システムを標準搭載しています。これにより、日々の稼働データや運転状況が遠隔で継続的に確認できるようになり、設備状態の把握や異常の兆候をいち早く察知できる運用体制が整いました。

「冷媒ガス漏れ10年保証付き点検契約(TGX)」という選択肢

ガス漏れ10年保証TGX

この遠隔監視による日々の見守りと定期点検を組み合わせ、長期的な安定稼働をサポートする新たな仕組みが、2026年6月よりスタートした《冷媒ガス漏れ10年保証付き点検契約(TGX)》です。

これは、構造見直しや配管固定方法の強化といった設備そのものの最適化、そして施工品質の高度化への取り組みを背景に実現したものです。このTGX契約(※新設案件かつ所定の加入条件を満たす場合が対象)を結ぶことで、日々の遠隔監視による早期のトラブル未然防止が図れるだけでなく、万が一の冷媒ガス漏洩発生時には、契約条件に基づき10年間、冷媒ガス漏れに関する修理費用が保証されます。

もちろん、環境配慮型のCO2冷凍システム「NOBRAC」もこのTGX契約の対象設備です。冷媒をグリーン化するだけでなく、「漏らさない、止めない、そして長期的なコストリスクを担保する」という、これからの食品工場に求められるリスクマネジメントの形を提示しています。

6. 【導入の後押し】公的補助金の賢い活用について

自然冷媒への転換や省エネ設備の導入を検討する上で、初期投資(イニシャルコスト)の壁をどのように乗り越えるかは多くの企業にとって共通の課題です。
こうした工場のグリーン化・脱炭素化を後押しするため、環境省や経済産業省などの公的機関から、省エネ設備や自然冷媒冷凍機の導入を支援する補助金制度が公募されるケースが増えています。これらを計画的に活用することで、投資負担を大幅に軽減しながら最新のサステナブル設備へとアップデートすることが可能になります。
※個別の申請手続きや主導を当社が行うものではありませんが、公募期間や適用要件に合わせた計画的な設備計画をおすすめしております。最新の公募情報や制度の詳細については、以下の公的機関等のウェブサイトをご参照ください。

環境省:環境省関連の補助金・委託事業等公募情報

7. おわりに:未来のフードチェーンを共に拓くパートナーとして

食品工場における脱炭素化は、一過性のブームではなく、企業の持続可能性(サステナビリティ)と事業継続リスクに直結する長期的な取り組みです。

ガリレイグループは、機器の製造・販売という枠を超え、お客様の食材研究や共同開発を行う「TFS(Total Food Solution)」の活動、全国70箇所以上のサービス拠点と東西コールセンターによる24時間体制の安心サポート、そして技術者の育成拠点である「ガリレイアカデミー」を通じた施工・サービス品質の向上など、ソフト面からも全力でお客様を支えます。

ただ冷やすだけでなく、食材の価値を最大限に高めながら、地球環境にも配慮する。これからのフードチェーンの未来へ向けて、最適な脱炭素化へのステップを共に歩んでまいります。


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