テストレポート

釜揚げしらすをおいしく冷凍するポイントとは

2023.08.31

【ガリレイフードサイエンスセンターの取り組み紹介】

近年需要が高まっている釜揚げしらす。釜揚げしらすは完全乾燥させた状態ではなく、水分を含んでしっとりとした食感が特徴です。そのため冷蔵での賞味期限が3日程度と短いため、ご家庭で冷凍される方も多いと思います。一度で使い切れない分のしらすを冷凍ストックしておくと、チャーハンや野菜炒め、サラダなどに使え何かと便利な上、適度な塩けとうま味が加わり、栄養価も上がります。

そこで、釜揚げしらすの最適な冷凍方法を、ホームフリージングを想定した方法とブラストチラーで急速凍結させた方法で実施、検証しました。

1.試料:釜揚げしらす

未凍結の国産釜揚げしらすソフトタイプを量販店より購入し試験に用いました。

2.実験方法

成型したしらすを下記の条件でそれぞれ凍結しました。a~dについては家庭用冷凍庫で、eについてはブラストチラー(フクシマガリレイ製)で凍結しました。

a.ジッパー付き保存袋に入れた後、アルミバット上で凍結(以下、保存袋) 

b.キッチンペーパーの上に積載し、アルミバット上で凍結(キッチンペーパー)

c.アルミバットに直接載せて、上部をラップで覆って凍結(ラップ)    

d.アルミバットに直接載せて、そのまま凍結(アルミバット)

e.ステンレスバットに直接載せて、そのまま凍結(ブラストチラー)

使用するアルミバットは冷凍庫で予冷し、a~c は緩慢凍結を想定、d はできるだけ急速凍結に近づけた条件とし、e は業務用の急速凍結を想定としています。

3.実験工程

上記条件で凍結 → 3日間ラップで包んだ状態で冷凍保管 → 常温解凍 → 評価(ドリップ流出量、官能評価など)

4-1.凍結時間

それぞれの条件で計測した凍結曲線は下図になります。厚み1.0cm、厚み0.2cm に共に成型した試料ではa が最も遅くe が最も早く凍結しました。

4-2.品質評価①「ドリップ流出量」

ドリップ流出量は、解凍した2 匹のしらすをろ紙に乗せて5 分間静置し、ろ紙に染み込んだ水分の面積を算出することで比較しました。観察したドリップ流出量と凍結時間を下図に示しました。凍結時間が長くなるほどそれに伴いドリップ流出量も増加するという相関関係が成り立っていることが分かります。

4-3.品質評価②「官能評価」

8 名のパネルが外観、食感、味、水っぽさについて評価したところ、未凍結のしらすと凍結後のしらすでは、外観・食感・味・水っぽさにおいて有意差が確認されました。しらすは一度凍結することで見た目、食感、味などが変化しますが、a~eの凍結条件の違いによる有意差は確認されませんでした。ただし総合的な好ましさは、e のブラストチラーによる急速凍結試料の点数がやや高く、未凍結に近いといった評価であった一方で、b のキッチンペーパー上に載せて凍結させた試料は味が薄いとされ好ましくない評価でした。

5.まとめ

 

急速凍結機(ブラストチラー)が最もドリップ量は少なく解凍後の官能評価も未凍結に一番近いという結果が出ました。

ホームフリージングでは、包装と冷凍方法の違いにより解凍後の品質に差が生じ、凍結時間を短く工夫することでドリップ流出量を減らせることがわかりました。

凍結時間が短いことで凍結中の乾燥と自然流出ドリップ量が抑制され、品質の良い冷凍が出来ます。

このように、急速凍結は品質を保つための最も有効な手段となります。ホームフリージングでも工夫次第で素早く、品質良く凍結が出来ます。ホームフリージングをうまく活用し、ご家庭での食材ロスを少しずつでも減らしていきたいですね。

※参考文献 ガリレイフードサイエンスセンター 2022 年度日本冷凍空調学会年次大会講演論文集「家庭等における冷凍条件が食品の品質に及ぼす影響」

ガリレイフードサイエンスセンターではこのような凍結、冷却に関する実験検証を行っております。お客様の食材を持ち込んでのテストも可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

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